小規模特認校って何? 国府南小学校の「oneclass」とは?

メリット
  • 公立小学校なんて画一的で大体どこも一緒でしょ?
  • 地方の学校って人数少なくてコミュニケーション能力が育つのか不安…
  • 授業のレベルが低かったりしないかぁ?

地方の小学校にこんなイメージを持っていませんか? 正直僕も国府南小学校のことを知るまではこんなイメージを持っていました。小規模特認校として一風変わった活動をしている国府南小学校の特徴の一つでもある「oneclass」の授業を覗いてみたら、いわゆる小学校の授業というイメージとは違う世界が広がっていました!今回は自分が実際にoneclassの授業において肌で感じたことをお伝えします!

 

「小規模特認校制度」とは

『地域の自然、歴史、伝統等を生かし、小規模ならではのきめ細かな指導や特色ある教育活動を行っている小規模特認校への入学・転入学希望者に対して、一定の要件のもと通学区域外からの就学を認めるものです。』(出典:栃木市HP)

つまり市内在住であれば希望者は誰でも通学することが可能な学校です。全国でもそれほど数は多くない珍しい制度です。小規模の目安としては1学級20名程度までとのこと。卒業後は小学校のある地区の中学校である東陽中学校(国府南小学校の場合)か、生徒の住所地の地区にある中学校を選択することができるそうです。

栃木市内では現在下記の2校の小学校が小規模特認校として認定されています。

・大宮南小学校 

HP:https://tm2.tcn.ed.jp/tochigi-ominami/

学校紹介パンフレット:https://www.city.tochigi.lg.jp/uploaded/attachment/56064.pdf

 

・国府南小学校 

HP:https://tm2.tcn.ed.jp/kounan/

学校紹介パンフレット:https://www.city.tochigi.lg.jp/uploaded/attachment/56065.pdf

 

「国府南小学校」とは

栃木市寄居町にある学校。地域は市街化調整区域に指定されているため、新たな家は建たない環境下にあり児童数が減少傾向にあったことから小規模特認校として活動を開始した。その後、個性豊かな教育が評価され始め広域からの生徒数が増加傾向にある。2024年度は学区外の8人を含む14名の新1年生を迎え、6学年のうち最大人数となっている。全校生徒数は54人(2024年4月現在)となり制度開始以降最多となっている。

外観

所在地:栃木県栃木市寄居町949−3

 

「oneclass」とは

2018年度よりスタートした栃木市立国府南小の学校・地域・外部講師による連携教育のこと。様々な分野のプロを講師にユニークな授業を展開しています。oneclassというネーミングには「児童・先生・地域住民・外部協力者が一つの同じクラスの仲間として、課題を解決するために活動をする」という想いが込められているそうです。

oneclassのFB:https://www.facebook.com/oneclasskounan/

国府南小学校のInstagram:https://www.instagram.com/kounanpta/

 

oneclass授業に参加してみた

授業風景1

 

 

 

 

 

 

色々なテーマで授業が行われており、今回自分が参加した授業は3年生を対象に行われた「アイデア発想法」でした。講師はデザイナーであり宇都宮大学の非常勤講師でもある青柳さん。oneclassの代表で国府南小学校の卒業生でもあります。

アイデアとは何だろう?

という質問から始まり、

『「冷蔵庫」+「カメラ」で、どんなことができる?』などのお題をもとに「アイデアは足し算」という話が理解しやすかったようで、子どもたちが積極的に発言をしていてびっくり。

授業風景2

 

 

 

 

 

 

その後、用意された10種類のイラストを使って算数の足し算のようにしてみるフレームワークが行われました。このクラスは8名だったので4名ずつ2グループに分かれての作業です。

授業風景3

 

 

 

 

 

 

「スゴイの思いついたっ!」

「『から揚げ』+『天気』で食べたら明日の天気がわかるからあげとかは?」

「『食べ物』+『カメラ』で賞味期限を知らせて食品ロスを減らせる(SDGs)冷蔵庫だ」

「『枕』+『本』で寝ている間に本の内容が頭に入ってくる枕」

「それにさらに〇〇も足したら・・・」

授業風景4授業風景5こんな風に子どもたちが夢中になってグループ内でアイデア出し作業していたのが印象的でした。もちろんまだ具体的でなかったり上手く案がまとまらない部分もありましたが、大人が行うブレストのようにアイデアにアイデアを被せていくことも自然と行われていました。講師の方ともこの状況ってすごいことですよねと話していたほどです。制限時間後、考えたアイデアをグループ毎に発表しました。こういう発表の機会が多いことも成長にはよい影響があると感じます。

 

最後に講師の方からまとめを頂いて締めくくりました。

  • アイデアは足し算である
  • いろいろなものを組み合わせる
  • 間違いはない
  • たくさん出す

授業後には、

「今度遊ぶ時にもこれで考えてみる!」

「Oneclassって楽しいっ♪」

という生徒の声があり、とても有意義な体験なんだなと感じました!

oneclass授業のテーマは他にも盛りだくさん!

  • キャリア教育
  • パワーポイントを使ったプレゼン資料の作り方
  • 書道の先生による習字
  • 農家の方による植物・作物などの栽培の仕方
  • 新聞記者の方による記事の書き方
  • シモツケラボ(※)宮内講師と行うコンポストによる土作り
  • コンポストに生息する生き物をルーペや顕微鏡で観察
  • イラストレーターによる絵の描き方
  • プログラミング
  • 心理学の専門家によるアンガーマネジメント  etc.

※シモツケラボ:https://shimolabo.com/

 

小規模特認校のメリット(国府南小学校の場合)

異年齢とのコミュニケーション能力

大人数の方がコミュニケーション能力が育つのでは?という意見もあるかと思います。確かにそういう部分もあると思いますが、人数が多くても実際にコミュニケーションをとる相手というのは実は限られていると思います。それに比べて少人数となると学年を超えて触れ合う機会が多くなります。下の子はわからないことを上の子に聞く、上の子は困っている子がいたら自然と声をかけて助けてあげる風土ができあがっています。学年を問わず名前で呼び合える関係になっているのが素晴らしいと感じたポイントです。異年齢の相手と意思疎通を図る、実はこれは社会に出た時の環境と近いといえます。つまり大人になってから役に立つ実践的な環境で過ごすことができると考えられます。

学力

40人のクラスと10人のクラスがあったとして、どちらが全員の状態を授業中に把握しやすいでしょうか?恐らく40人のクラスでは難しいのではないでしょうか。授業中に発表するにしても40人全員が発表するだけでも時間が足りません。10人であれば毎授業全児童が前に出て発表する時間を作ることは可能であり、置いてきぼりになる児童は少なくなると考えられます。少人数だからこそ目が行き届くといえるのではないでしょうか。

責任感と自主性

人数が少ないので一人が担う日々の役割が多くなります。日直やクラス委員、掃除、…とその役割の種類は実に様々です。傍観者ではなく主体的に動く必要がある環境に置かれることは責任感や自主性を養う上でメリットになります。

学年に関係なく先生が子ども一人ひとりを把握している

大きな学校となると一学年の人数も多くなり、教員であっても担当学年ではない他学年の生徒だと名前と顔が一致しないなんてことが起こりえますが、国府南小学校の場合は校長先生でも生徒に対して名前を呼んで話しかけています。つまり多くの先生に我が子が「たくさんいる生徒のうちの一人」ではなく「一人の人間」として認識してもらえている状況なのです。これって実はなかなかスゴイことで、子どもの自己肯定感につながると予想されます。

運動会での場所取りが不要

運動会の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

大規模な学校だと運動会での場所取りが壮絶になるイメージです。また地域柄自動車で移動することが多いので、駐車場不足の問題も発生しがちです。

国府南小学校では学校側が用意してくれるテント内に保護者の席が収まりますし、生徒数に対して広い校庭の一部が駐車場となり余裕があります。

 

小規模特認校のデメリット(国府南小学校の場合)

体力不足

小規模特認校では広域から生徒が通学するため、保護者による送迎が必須となります。つまり自動車で通学することが多くなります。それゆえに毎日の通学のための歩行時間が奪われ体力不足に陥るという傾向が見られるようです。しかしこれを解消するために朝の時間に校庭を自分のペースでランニングするという取り組みがあり、周回毎にもらえるシールやスタンプをモチベーションに子どもたちが走っています。

保護者の理解と協力が必須

イベント出欠の回答の様子

イベント出欠の回答のイメージ

教職員の数が限られているため、教職員がいくつもの役割を兼任しており負担も他の学校より大きい状態のようです。従って、学校を運営していくには保護者や地域の方の協力が不可欠です。強制ではありませんが、教職員に任せきりにするのではなくみんなで協力して学校運営をしていく意識が必要になります。教職員、地域の方、保護者等からなる組織として「コミスク(コミュニティースクール)」というものがあり、ネット上でどの活動に参加するか出欠の回答をする形で参加できます。仕事との両立はスケジュール調整などで大変な部分はありますが、参加してみると子どもたちの学ぶ様子や笑顔がみれてやりがいがありますよ。

 

知名度が低い

栃木に移住して5年ですが、市内の周りの人と話していてもあまり小規模特認校の存在自体それほど認知されていないようで、小学生の保護者の方でもよく知らないと言う方が多いです。これからもっと外にアピールしていく必要がありますね。

 

雰囲気を肌で感じられるオープンスクールがおすすめ!

小規模特認校の2校は他の公立小学校と違いオープンスクールという保護者や進学・転入希望生徒が自由に学校見学が出来る日を設けています。高校・大学の文化祭のようなイメージですね♪ 学校の雰囲気や生徒の様子が肌で感じられます。それぞれの学校で年2回オープンスクールが開催されるので興味がある方は是非参加してみてください!

ちなみに9月28日に国府南小学校で行われたオープンスクールでは、子どもたちが作った大きなSDGsカルタで大人も子どもも大盛り上がりでした!

当日の様子:https://www.instagram.com/p/DAdTYxtyf9k/

なお国府南小学校につきましては、事前連絡をすれば随時学校見学は可能なようです。(大宮南小学校は未確認)

 

小規模特認校・oneclassは地方ならではの魅力的な教育コンテンツ

今回は小規模特認校で、特に国府南小学校のoneclassについて取り上げました。同じ小規模特認校である大宮南小学校は「水辺の活動」を特徴として活動しているようです。

地方にいるとクリエイティブな職業なんか無縁というようなイメージがあるかもしれませんが、oneclassのような授業により、むしろ身近に感じて学ぶことができます。このような個性的な教育を子どもが受けられるというのは、都内の小学校でもなかなかないことだと思いますし、親としてとても魅力的なコンテンツだと感じます。将来の就職を考えるうえでも、早いうちに色々な職業の方に接触し話を聞いたり体験したりすることは将来を考えるきっかけになりますし、子どもの選択肢や視野を広げる上でとても有益なことだと思います。

【参考】oneclass代表である青柳さんの熱い想いやoneclass活動の経緯がわかる記事

第一部:https://tochigi-seeds.com/negaposi1/

第二部:https://tochigi-seeds.com/negaposi2/

 

いかがでしたでしょうか。地方での子育ての魅力の一つとしてお伝え出来たかと思います。個人的にもこの子どもの教育という部分で、活動を支援していきたいと考えています。これからも頑張るぞー( `ー´)ノ

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