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しもつかれ作りを親子で体験!栃木の伝統食を学ぶ国府南小学校の食育イベントをレポート

アイキャッチ画像 体験

「しもつかれってどんな料理?」「栃木の郷土料理を子どもと一緒に学びたい!」
そんな方にぴったりの食育イベントに、親子で参加してきました。

栃木県の伝統料理である「しもつかれ」は、お正月明けに作られる歴史ある郷土食です。見た目や独特の風味から好き嫌いが分かれることもありますが、栄養価が高く、昔から健康食として受け継がれてきました。

今回は、実際に国府南小学校で開催された「しもつかれ作り」の食育イベントに親子で参加し、作り方やその由来、子どもたちの反応を体験してきたので、その様子を詳しくレポートします!

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しもつかれとは?江戸時代の食糧不足から生まれた栃木の伝統料理

しもつかれ地域

しもつかれ地域 出典:しもつかれjapan https://www.shimotsukare.jpn.com/all/shimotsukare/

しもつかれは、栃木県を中心に北関東で古くから食べられてきた郷土料理です。大根や人参、酒粕、鮭の頭、大豆などを煮込んで作るこの料理は、独特の見た目と風味を持ち、初めて食べる人には少し驚かれることもあります。しかし、栄養価が高く、食品ロスを減らす知恵が詰まった伝統食として、現代においても見直されています。

しもつかれの起源は江戸時代にさかのぼります。当時、日本の人口は急増し、食糧不足が深刻な問題となっていました。そのため、限られた食材を無駄なく活用し、栄養を確保するための工夫が求められました。しもつかれは、正月に使った塩鮭の頭や節分の炒り大豆を再利用し、栄養を補う料理として生まれたとされています。

また、しもつかれには「七軒の家のものを食べると病気をしない」という言い伝えがあり、地域のつながりを大切にする文化とも深く結びついています。家庭ごとに異なる味付けやレシピが受け継がれており、地域住民の交流を促す料理でもあるのです。

こうした背景から、しもつかれは単なる郷土料理ではなく、持続可能な食文化の一例としても注目されています。江戸時代の食糧危機を乗り越える知恵が詰まったこの料理は、食品ロスの削減や食の多様性を尊重するSDGsの考え方にも通じるものがあるのです。

 

しもつかれとSDGsの関係|持続可能な食文化としての意義

自分は県外から移住してきて、今回の食育イベントで初めて「しもつかれ」という料理に触れました。見た目や材料の組み合わせが独特で、最初は少し驚きましたが、地域の方々と一緒に鍋を囲んで作るうちに、その背景にある深い意味を感じるようになりました。

しもつかれは、江戸時代の食糧不足の中で生まれた料理だそうですが、現代のSDGs(持続可能な開発目標)にもつながる要素を多く含んでいます。この日、地域連携教育プロジェクト「oneclass代表であり、「しもつかれブランド会議」代表でもある青栁 徹さんから、しもつかれの持つ意義について伺いました。そのお話をもとに、しもつかれとSDGsの関係を考えてみます。(oneclassについて知りたい方はコチラ

1. 「目標2:飢餓をゼロに」— 食材を余すことなく使う知恵

しもつかれは、正月の塩鮭の頭や節分の炒り大豆など、本来なら捨てられがちな食材を無駄なく活用する料理です。この考え方は、日本人に馴染みの深い「もったいない」という価値観とも密接に関係しています。「もったいない」という言葉が元々仏教用語から来ていることを、青栁さんのお話で初めて知りました。「勿体(もったい)」+「ない」で、もともとは「物の本質(体)を失うことを惜しむ」という意味を持ち、しもつかれのように食材を最後まで大切に使う文化は、まさにその精神が生きたものなのだと感じました。

2. 「目標12:つくる責任 つかう責任」— 食品ロス削減と食文化の継承

現代の日本では、まだ食べられる食品が大量に廃棄される「食品ロス」が問題になっています。しもつかれは、そんな食品ロス削減の先駆けともいえる料理です。塩鮭の頭や大豆、野菜の端など、本来なら捨てられがちな食材を無駄なく活用することで、持続可能な食のあり方を実践しています。

また、しもつかれは時代とともに少しずつ変化していることも、青栁さんから伺いました。例えば、昔は酒粕を多く使っていたけれど、最近では食べやすくするために控えめにしたり、具材を工夫する家庭も増えているそうです。伝統を守りつつも、時代に合わせて柔軟に変化しながら受け継がれている点も、持続可能な食文化の一例といえるでしょう。野菜くず

さらに、今回の食育イベントでは、学校内に設置されているコンポストで、しもつかれ作りで出た大根の皮や野菜くずを堆肥にして活用する仕組みになっています。食品を無駄にしない工夫は、料理の過程だけでなく、その後の資源循環にまで及んでいます。食材を最後まで大切に使うしもつかれの精神と、このコンポストの取り組みは、「つくる責任・つかう責任」を実践する好例だと感じました。

 

3. 「目標11:住み続けられるまちづくりを」— しもつかれを通じた地域のつながり

しもつかれ作りは、単なる料理の手順ではなく、地域の人々が鍋を囲みながらコミュニケーションをとる場にもなっています。実際にイベントで親子や地域の方々と一緒に作業をする中で、昔ながらの郷土料理が「人と人をつなぐ役割」を果たしていることを実感しました。青栁さんも、しもつかれを「食べるだけでなく、この鍋を大勢で囲んでいる空間と時間が大事」と表現していました。

 

地域で子どもを育てる!コミュニティ・スクールとしての食育の重要性

今回のしもつかれ作りの食育イベントは、単に料理を学ぶだけでなく、地域の大人たちが一体となって子どもたちを育てる「コミュニティ・スクール」の実践としても、大きな意義がありました。

私自身、東京から移住してきて感じるのは、地域の人々が積極的に学校教育に関わる機会が多いことです。青栁徹さんが代表を務める地域連携教育プロジェクト「oneclass」の活動も、そのひとつです。今回のイベントでは、教員や保護者だけでなく、地元の住民や企業関係者など、さまざまな立場の大人が参加し、子どもたちと一緒にしもつかれ作りを行いました。

学校と地域が協力する「コミュニティ・スクール」の考え方

「コミュニティ・スクール」とは、学校・家庭・地域が連携し、地域ぐるみで子どもを育てる仕組みのことを指します。文部科学省もこの考え方を推進しており、全国の学校で導入が進められています。学校運営に地域住民が関与し、教育活動に地域の知恵や資源を活かすことで、子どもたちの学びがより豊かになります。

今回のしもつかれ作りのイベントは、まさにその実践例でした。地域の方々が、食材の背景や調理のコツを子どもたちやその親に教える場面がありました。普段の授業では学べない、「地域の食文化」「持続可能な食のあり方」「食べることの大切さ」を、実体験を通して学ぶことができたのです。

大人も学び、つながる場としての食育イベント

調理体験風景今回、私自身も移住者として初めてしもつかれを知りましたが、イベントを通じて、地域の文化や人々の価値観に触れることができました。また、地域の方々が「昔はこうやって作っていた」「家庭ごとに味が違うんだよ」と話しているのを聞きながら、しもつかれが単なる郷土料理ではなく、人と人をつなぐ役割を果たしていることを実感しました。個人的に印象的だったのは、昔は新巻鮭でつくっていたため塩気がつよく水洗いして塩を流していたほどだったそうです。そのため、料理自体には調味料をほぼ使っていなかったそうです。ところが現在の塩鮭は昔ほど塩気がないため、味を整えるために調味料を加えることが多くなっているとのこと。

学校が地域とつながることで、子どもだけでなく、大人にとっても新たな発見が生まれます。しもつかれ作りを通じたこのイベントは、地域コミュニティの活性化と、世代を超えた学びの場としての重要な役割を果たしていたといえるでしょう。

 

親子でしもつかれ作りを体験!

今回のしもつかれ作りイベントは、地域の住民、企業、学校が一体となって開催された取り組みで、地元の文化や人とのつながりを実感する貴重な機会となりました。地域の企業として栃木市に工場があるミツカンがオリジナルレシピ(しもつかれ円盤餃子)を提供してくれました。また、NHK(記事はこちら)とケーブルテレビが取材にきていました。

イベントの流れ|しもつかれ作りの体験

しもつかれ鬼おろし体験当日の会場は学校の家庭科室で、学校でとれた大根・人参・大豆と地域の方に用意していただいた鮭の頭、あぶらあげ、酒粕などの食材が準備されていました。

食材の準備とカット作業

鬼おろしまず、大根の皮むきから作業が始まりました。大量の大根があっという間に下ごしらえされていきました。その後、生徒宅や地域住民の方々からお借りした鬼おろしを使い、大根や人参をすりおろす作業が始まりました。鬼おろしは一般的なおろし器よりも粗く削れるため、しもつかれ独特の食感を生み出すのに欠かせない道具です。すりおろした大根と人参が揃ったところで、いよいよ鍋に入れての煮込み作業が始まりました。このタイミングで生徒たちの体験は一旦終了。給食の時間まで授業です。

人参

大根

 

 

 

 

 

 

 

 

鍋を囲んで煮込む時間

切った野菜や鮭の頭、大豆を鍋に入れ、煮込みが始まると、会場には独特の香りが漂い始めました。この時間は、まさに「しもつかれが人をつなぐ時間」でした。鍋を囲みながら、地域の方々が「家によって味が違うんだよ」「夏に作っても美味しくない、冬だから美味しい」「家に帰ってきたらおばあちゃんが作っててこの匂いが家中に充満してた」「家によっては真っ白になるくらい酒粕いれる」と、しもつかれ談義をしてくれました。

大豆

完成!いざ試食

大人用のモノとは別の鍋で子ども用にも作っていて、生臭さを抑えるために鮭の切り身を使用し酒粕の量もかなり抑えて作っていました。じっくり煮込まれたしもつかれを試食する時間になると、「おいしい!」「野菜の甘みがすごい」といった声が上がりました。しもつかれの味に関しては正直ネガティブな話をたくさん聞いていたのでドキドキしながら僕も子ども用から食べてみると、人参の甘みがしっかり出ている野菜スープのような感じでとても美味しく感じました。大人用も味見しましたが、苦手な酒粕の香りも気にならず美味しくて試食をおかわりしたほどでした(^-^)

 

子どもたちの反応は?伝統食を未来へつなぐ地域ぐるみの食育の効果

今回のしもつかれ作りのイベントでは、子どもたちは調理を体験しましたが、その場では試食をせず、給食の時間に初めてしもつかれを口にするという形になりました。自分たちで作った料理を食べる機会を持つことで、しもつかれの味だけでなく、その背景にある文化や歴史にも関心を持つきっかけになったのではないかと思います。

「しもつかれってどんな味?」— 給食での初体験

給食しもつかれは、その独特な見た目や味から「好き嫌いが分かれる料理」と言われることもあります。しかし、今回のイベントに参加した子どもたちは、自分たちが手を動かして作った料理を食べるという経験を通して、普段よりも興味を持って食べれたようです。

実際に給食でしもつかれを初めて食べた子どもたちの感想には、次のような声がありました。

「前より食べやすくなった気がする」

「餃子美味しかった!」

「家で食べたことがあったけど、今日のしもつかれは少し味が違った」

苦手という子もいましたが、初めて食べてみて、気に入って大量にお代わりをしている子もいました。

食育イベントを通じて伝統食が身近なものに

しもつかれのような郷土料理は、特に若い世代には馴染みが薄くなりつつあります。しかし、今回のように地域ぐるみで調理を体験し実際に味わうことで、「食べたことのない伝統料理」から「自分たちが作った料理」へと意識が変わるきっかけになったのではないでしょうか。

さらに、しもつかれ作りに関わった地域の大人たちにとっても、子どもたちに郷土料理を伝えることは、地元の文化を次世代へ受け継ぐ大切な役割を果たしています。「昔はこうやって作っていた」「しもつかれを食べれば風邪をひかない」といった話を交えながら料理する時間は、世代を超えた交流の場にもなりました。

今回のイベントは、単にしもつかれを作るだけでなく、「食を通じた地域のつながり」を実感できる機会になりました。子どもたちが給食でしもつかれを食べたことで、この体験がより深く記憶に残り、いつか成長したときに「しもつかれってこんな料理だったな」と思い出してもらえるかもしれません。郷土料理を未来へつなぐための一歩として、大きな意味を持つイベントだったと感じます。

直近でしもつかれ作り体験ができるイベントはこちら

まとめ|しもつかれ作りで学ぶ地域とのつながりと食育の価値

今回のしもつかれ作りのイベントは、栃木の伝統料理を親子で体験しながら、地域・企業・学校が協力して子どもたちを育てる「コミュニティ・スクール」の理念を体現した場でした。食材を無駄なく使う「もったいない」の精神や、地域の人々との交流は、現代の生活ではなかなか経験できない貴重な学びだと思います。それを実現している小学校は稀有な存在ではないでしょうか。

しもつかれは時代とともに少しずつ姿を変えながらも、食品ロス削減や持続可能な食文化の象徴として、未来へと引き継いでいきたいものだと思います。地域ぐるみでこのような食育の機会が広がることで、子どもたちが郷土料理に親しみ、地元の文化に誇りを持つきっかけになると思います。改めて国府南小学校を選んでよかったと感じました。

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